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立憲民主党は、こう党改革をするべきである
 ―第49回衆院選 結果分析―

渋谷 一三
451号(2021年11月)所収


<はじめに>

 総選挙が終わり、立民党は110議席から96議席に大幅に議席を減らし、自民党は“単独”安定過半数の261議席を獲得した。大衆がアベノ腐敗政治に辟易としていたわりに、大勝利だった。
 菅政権の1年間がクッションになり、枝野氏のキャピタルゲイン課税という大失策に助けられ、自民党は予想外の大勝利になった。
 尤も、これは安倍政権下で深い関係を築いた電通の世論操作が効を奏したことも大きい。今回の結果に一番近い予想をしたのは朝日新聞だけであり、他社は電通に誘導されたであろう読売新聞を先頭に、自民単独過半数233近辺、立民140へ大幅議席増というものだった。
枝野氏が政権交代を目指す緊張感を追求するあまり、これを自民党に「政権選択選挙」と言い換えられて呼応されたことで、自民党の支持層に危機感が生まれ、野党共闘の接戦区を中心に落選が予想されていた自民候補が6割強近く勝利する結果となった。
電通はこの間の豊富な世論調査・世論操作の経験から、自民ギリギリ過半数という、「劣勢」でもなく「勝利」でもないトーンを打ち出し、支持層の投票行動を促し、自民党を勝利に導いた。

1.立民党の敗因

11月2日枝野氏は辞任を表明した。
野党共闘(共産党との共闘)が“リベラル保守層”の離反を招いたとする党内批判に屈した形になる。野党共闘が無ければもっと負けていたという認識すら持てないどうしようもない奴らが党内多数派になってしまっている。これが本当の敗因である。
枝野氏と福山氏が作った政党なのだから、あとで入れてあげた党内“右派”の要求など無視しなければならないのだが、野党共闘に対してフリーハンドで議論出来るようにと辞めたのであろう。

敗因の大きな要因の一つに、連合の支持を取り付けたことがある。

あろうことか、選挙を目前に控えて枝野代表が、連合会長とカメラにおさまるシーンをマスコミに撮らせている。
これで、旧総評系の労働者上層部が離反した。一般大衆は、労働組合の「肥った豚」より自分たちが下に置かれた屈辱感にみまわれた。これで、支持率は大幅に減った。連合が勝手に支持してくるのは良いし、そうさせておけばいいのだが、事実はそうではなく、
「国民政党」への脱皮を急ぐ余りの枝野氏の判断の誤りで、国民民主党から連合の支持を剥ぎ取るべく「三顧の礼」でもしたのだろう。この雰囲気は画面からでも十分見て取れた。有権者より連合が上で、立民党は国民政党ではなく、労働組合の利害代表政党であるという強烈な印象だけが残った。
そこに、辻元の一連の足引っ張りと、ミニ辻元である安住国対委員長のレッテル張りが拍車をかける。

最大の敗因は、略称を民主党にしたことにある。

おそらく国民民主党から連合を剥ぎ取る時の取引条件として、立憲民主党の略称と国民民主党の略称を同一の「民主党」にしたのだろう。どちらの略称も同じだということに気付かなかった人も多くいた。
このことは不思議と、どのマスコミも指摘していない。
 これで、国民民主党が比例で予想外の票を取り、予想外の議席増を果たした。
 また、国民民主党の比例区候補者が少なかったため、普通比例区ではあり得ないことだが、「民主党」票の死に票が大幅に発生してしまった! 
 
実際、立民党は小選挙区で9議席を増やしている。小沢氏や辻元氏の落選などのマイナスがなければ11議席も増やしている計算だ。「野党共闘」なる選挙協力の成果は、はっきりと出ている。
それでは、なぜ立民党は大幅に議席を減らしたのか。
比例票が大幅に減り、23議席も減ったことが響いている。
もし、「野党共闘」が無ければ31議席減の79議席の党になっていただろう。
比例票が大幅に減ったのは、投票時の党の略称の問題が最大の要因である。
立民党は、投票ポスターでは国民民主党とは大きく離れ、右端に近い位置にある。立憲という文字は画数が多く略称の民主党と書きたくなる。おそらく多くの立民党支持者は左端近くの国民民主党の略称もまた同じ民主党であることになど気付かず、民主党とだけ書いただろう。こう書いた途端に「民主党」票は、立民党と国民党とに配分される。
 実際、国民党は比例区で多数の票を取り、議席を増やしたに過ぎない。口悪く言えば「詐欺勝ち」である。    ―(注)末尾に ―
 玉木代表などは調子に乗って、野党共闘が有権者からそっぽを向かれたのだとの根拠のない反共キャンペーンに迎合し、維新にすり寄る発言をして、当の「維新」松井氏から、勝手なことを言われても迷惑だとまで言われる始末。政治屋として、イロハも知らぬお粗末ぶりを露呈した。
 マスコミも含めて「右派」は立民党の敗因を、何の根拠も示さず「共産党との距離の置き方」にあるとするキャンペーンを張ることにしているが、こういうことを言う誰しもが、一致して、比例区の略称<民主党の怪>を指摘せず、比例区票の「民主党」票がどれだけあり、どれだけが国民党に流れ、「死に票」にされたのかを報道しようともしない。

自民党にとって脅威の「野合」=「野党共闘」を瓦解させたいがための、結束したデマコギ―である証左が、この <民主党の怪> である。

2.「維新」が躍進したのは、下層階級の利益を実現したからである。

前稿で指摘した通り、「維新」は
 1 中学校の給食
 2 高校までの授業料の無償化
 を実現した。
 今まで、どの政党も実現しようとしなかった政策である。
 「維新」の出自が下層であることから、この2点の要求がどれほど切実なものかを肌身で感じることが出来ていたのだろう。実際、「維新」の出現と下層労働者の増大は完全に一致する。
 今回、議席を大幅に増やしたのも、コロナ禍で犠牲を強いられたのが下層だったことと無関係ではない。
 コロナ禍で、旅行や飲み会が無くなった上層労働者階級では、平均200万円貯蓄が増大した。下層とは真逆なのである。 

「維新」が躍進するのは当然のことであり、立民党は絶叫とは裏腹に、下層の利害を貫く政策を一切持っていない、プチブル政党だったのである。
このことを、指摘されても認識する能力を持っていない無能な政治屋を、マスコミは右派と呼んでいるだけである。このマスコミの呼称が事態を見えにくくさせているが、この「右派」層の典型である辻元氏のハチャメチャ無節操ぶりの分析を通して、それが「右派」ではなく、無能で能天気な政治屋ゴロツキであることを、4章で述べる。

3.「維新」は自力・単独で自民に勝利した!

 大阪の19の選挙区のうち、「都構想」への協力の見返りとして公明党にあてた4選挙区以外の全ての選挙区で維新は勝利した。
 どことも選挙協力などしていない。公明党への見返り措置が必要なかったなら、全小選挙区で「維新」が勝利しただろう。逆に言えば、公明党・創価学会でも負けるからこそ、大阪の公明党は中央での自公連合を尻目に大阪自民党を裏切って「維新」の側について、都構想支持に転じたのだった。
 この時、松井代表は気色ばんで、都構想に賛成しないならば公明党の選挙区すべてに「維新」の対立候補を立てると恫喝した。この恫喝を機に、大阪公明党は都構想に賛成に転じた。
 今回の公明党の4議席は、「維新」が公党としての約束を守ったおかげの議席にすぎない。
 要するに、維新は大阪では全小選挙区で単独で勝利できる力を得ているのである。
 この力の源泉は、既に全労働人口の過半数をとうに超えている下層労働者の利害を唯一代表しているところにある。
 小企業の労働者、パート労働者、派遣社員、個人事業主の形をとらされているアルバイト以下の労働条件の“アルバイト”、アルバイト、フリーターと呼ばれる不定期労働者など多様な形態の下層労働者群は、今や一握りの大企業社員や公務員などよりはるかに大きな集団になっているのだ。
 「連合」に媚びを売っている政党に投票するわけがない。
 零細企業たる飲食店などの個人営業主は、横柄に皺寄せしてくる大企業の利害を優先する自民党にはもう騙されない。ましてや経済学をまともに勉強してすらいない水準の利益団体幹部など、顔も見たくない。
 
 立民党は、下層の利害を代表できるよう自らの政策を改めなければならない。
 これなくして、協力関係を模索するのは本末転倒であることを肝に銘じよ!
 維新は単独で自民を敗北させたのだ。

4.辻元氏に典型的にみる立民党に流入した低俗議員が、同党の敗北を招いた。

1.『維新なんて眼中にない。』発言

自分の小選挙区の脅威である「維新」が眼中にないなら、とんでもない政治不向き人間。本当は眼中にあるからこそわざわざ発言している。氏の、相手を小馬鹿にする傲慢な性格が思わず露呈している。
 この傲慢さは、完全に政治不向き人間。

2. 自民党の山崎拓議員を応援演説に呼んだ件

山崎氏から応援演説のオファーがあったから受けたというのが本人の弁。これで弁解になっていると考えている風情があるのが不思議。立民党支持者の思いを代表することが出来ているのであれば、こんな申し出があったところで、即座に丁重にお断りしているはず。
 辻元氏が、立民党員の質を持っていないからこそ、山崎氏を応援演説に立たせ、「小選挙区は辻元。比例は自民党。」発言をさせてしまった。
 だいたい福岡の選挙区の自民党からも、「赤ちゃん姿で愛人のもとをハイハイ」しているスクープで嵌められ愛想をつかされている落ち目の元幹事長を自分の応援に立てることが、立民党支持者を離反させるという感覚すら持ち合わせていない。
 本人いわく、「リベラル保守層にもウィングを伸ばした。」のだそうだ。
 リベラル保守が岸田氏の所属する宏池会であることすら知らない恐ろしいほどの無知。安倍派と宏池会の広島抗争が、異例の選挙資金供与と買収で当選した河井何某という議員夫妻。
 こんなことも知らないで買収事件を追求してみせる辻元清美様は一体何様なのだろう。この人物の一貫した傲慢さがここでも露呈している。
 さらに、党に何の相談もなく「リベラル保守なる仮想の翼に触手を伸ばす」という戦略を実行に移すのも、副代表だからいいのだとでも思っていたのだろう。
 このような傲慢な人物を党の副代表にまでしてしまった枝野氏の誤りは大きい。
女性議員だからという理由で甘くなっていたとするなら、立民党のフェミニズムの学習水準の低さが絶望的なほどであることを示している。

3. 小選挙区で勝利した維新候補の当選御礼駅立ちに、わざわざ待ち構えて『お見事』と上から目線でマウンティングをした件

本当に傲慢な人だ。比例で復活すらしていないのだから、もはや元議員に限りなく近い。真剣に敗因を考え、自分の辻立ちをし、立民党支持者に謝らなければならない。
   それなのに、当選した維新の新人に、当選何回か知らんけど大先輩議員が「フロック当選は今度だけだよ。」ばりに、激励するの構図をとっている。
  絶望的なほど自分の置かれた状況を理解していない。政界を去る以外にないのです。

4. 副代表なのに、辞任をしようとしない件

枝野氏の辞任に合わせて辞任の発表をして然り、なのだが、一向に辞任のニュースが流れてこない。
福山幹事長も自分の辞任のタイミングを発表し、遅ればせながらも安住国対委員長も役職の辞任を言うまでになっている。
が、辻元氏の辞任の発表はなく、「比例でも当選しなかった」の報が入ってきた。
これが、事実だとすると政界引退以外にはない。
とても良いことだ。
立民党から、足引っ張りが一人消えた。

(注)

  立憲民主党の今回の比例区の得票は1149万票。前回が1108万4890票。
  国民民主党の今回の比例区の得票は 259万票。
  
  比例区の「民主党」票がどれだけあったのかを正確に調べることが出来ないので合理的推
 理をしていくしかない。
  前回の立民党の小選挙区得票は472万6326票に過ぎないが、今回のそれは1721万
 票と桁違いに多い。約3.6倍。小選挙区票が共産支持者の9割近くが律儀に立民党に入れていることを勘案しても、前回選挙の約3倍の小選挙区票を得ていると推定出来る。なのに、比例票は横這い。
小選挙区で立民候補に投票した人のどれだけが野党共闘を嫌って比例では他の政党に入れたと言うのだろう。
 この数字だけ見れば、小選挙区で野党共闘の立民党に入れた人の3分の2が、比例区では立民党以外に入れたことになる。このようなことはあり得ない。
 仮に比例区で立民党と書いた立民支持者が、民主党と書いた立民支持者より少なかったと仮定してみよう。両者が五分五分だったケースでも立民党の比例票は前回より増える。両者の比率が3対7だった場合、立民の比例票は前回総選挙時とほぼ変わらないという結果が出る。
 こんなに「民主党」と書いた人の割合が多いとは思えないが、半数近くが立憲民主党と書くのではなく、民主党と書いたことが強く推定出来る。
 民主党票の多くが国民民主党に配分され、その議席増につながったことは間違いない。
 
 国民民主党および自公支持者がいうような、共産党との野党共闘に嫌気して比例区では国民民主党やその他の政党に投票した人が多かったというのは、デマの政治的キャンペーンであることがはっきりした。


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