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立憲民主党の支持率が伸びないわけ

渋谷 一三
450号(2021年10月)所収


 下層の政党は、第1に「維新の会」。
 第2に性格上は下層を宗教で組織し無害化する役割を果たしている公明党。
 だが、公明党は零細業者という小ブルジョアも多く組織化したことによって、ブルジョア政党との連立を組めるようになり、これが、今日の自民党の延命を保証してきた。

 日本共産党はほぼ完全に小ブル政党に純化しつつあり、立憲民主党と支持層が競合している。
 かつては労働者階級に依拠する政党として成立することを目指したが、日本が帝国主義国家として復活するに伴い、支持層の労働者が上層化し、小ブルジョア的意識に染まった。
 このため、「小ブルジョアジーの無害化・共闘」の方針が、「小ブルジョアジーとの連合」の路線となり、じわじわと同党の変革が進んでいる。教条主義者から見れば、内部からの変質が進んでいるということになるが。
 かつて、相対的に下層であった労働者階級に支持基盤を見出していた頃は、貧困層の無害化を図る公明党と激しく衝突し、「共・公」戦争を繰り広げていた。
 これが、1970年代前半を最後に終息する。
 日本共産党の支持基盤が上層化したためである。

 この下層の政治的空白状態は「日本維新の会」の登場まで、30数年の長きにわたって続き、共産党の躍進の終了と公明党の議席増という結果を生み出していた。下層が「フリーター」形で少しずつ生み出され「派遣労働者」の法制化で大量に生み出されるまで、30年かかったということである。

 こうした「空白」や「共産党の躍進」は、全共闘運動との連関を抜きには語れない。
 ここでは、本題ではないので、省く。

 維新の会の登場によって、下層階級の取り合いに根拠を持つ、公明と維新の熾烈な戦いが大阪で繰り広げられるようになった。
 立憲民主党は、自民党の古い政治=利権政治と弥縫策のみの理念のない政治=を打破し、現実主義の理念のある政治、簡単にいうなら、国際水準の民主政治を樹立しようと結党された。
 だから、現実主義でない「社会主義」の理念とも決別した。だが、米国民主党のような「リベラル主義」を対立軸に据えるような狭さが目的ではないため、自民党に有効な対立軸(体系)を措定することが出来ずに混迷している。
 立憲民主党は小ブルジョア政党であるという自覚を持ち、国政に大した具体的要求を持たないがゆえに利権政治を繰り返して世界に後れをとっている大ブルジョアジー政党の自民の腐敗した政治を終わらせなければならない。

 安倍政権の始まった2011年、中国と日本のGDPはほぼ同じだった。安倍政権の終わった2020年、中国のGDPは日本の2倍になっていた
 安倍政権の始まった2011年、韓国の労働者の平均年収は日本のそれの7割程度だった。安倍政権の終わった2020年、韓国の労働者の平均年収は日本の労働者の平均年収を遥かに上回り1.3倍近くになっていた。
 大企業の収益は内部に留保されるだけで、再投資に向かわない為と中国への投資に向けられた為、中国のGDPは日本の2倍になった。

 竹中平蔵の『小泉改革』で、大学は無茶苦茶にされ科学技術の進歩の基礎が破壊され、“規制緩和”の名の下で外資に国富を収奪される愚が行われた。
 安倍政権の9年間は、この『竹中平蔵の乱』の傷の修復を全く行わず、インフレ・ターゲット政策という実現不可能と烙印を押されている古い経済理論仮説を信奉して、漫然と、中央銀行の超低金利・マイナス金利政策をやっていただけだった。大資本企業の経営者ともども、何ら経済戦略を行っていなっかった。

 そこで、立憲民主党の政策が小ブルジョア政党の政策になっているかを点検する必要がある。
 「分配」だが、株式市場で得た利益に、現行の20%の税率を引き上げ30%にするという政策である。
 一見大ブルジョアジーから収奪し、小ブルジョアと下層へ分配するように見えるが、そうではない。今日の小ブルジョア層は、金利がマイナスなこともあり、かつ年金だけでは暮らせないため、多かれ少なかれ株式市場に手を出している。
 だが個々人は情報弱者であり資金弱者であるため、0サムゲーム(誰かの利益は誰かの損によって生まれているだけ)の敗者の側に立つことが多い。
 安倍は、この敗者層を、「異次元の金融緩和」による株価バブルを創出することによって、利益を挙げさせ自らの支持層に変えてきた。
 立憲民主党は、この層を自民党からはがさない限り、政権を取ることはできない。

 幸い岸田首相が、立憲民主党に対抗するあまりに、同じ金融所得課税増税を言い出す失敗を犯した。
 立憲民主党にとってはチャンスだったのだが、株式市場は8営業日連続下がり続け、平均株価を4000円近く下げ、政策の撤回を要求した。売りまくり下げ続け、一旦大損をしても、結局株価を上げさせれば損をしない階級=大ブルジョアの仕業であることは、自民党内小ブルジョア会派の宏池会にも分かった。
 岸田は前言を撤回し、Capital gain への増税という政策を撤回した。その翌営業日、株価は大幅に上昇し始めた。

 立憲民主党は、この事態に注目する能力を持っていないのか。未だに、30%への増税を撤回していない。自らの支持層であるはずの株式市場の餌食にならされてきた階層の敵になったままなのである。

 大企業の経営者には中国への投資の危険性を警告し、投資をインドやベトナムにシフトすべきであることを啓発するとともに、開発銀行などを通して誘導し、反中国経済体制を構築していくべきである。大企業敵視政策では政権は取れないことを肝に銘じるべきである。
 韓国が日本の半分にも満たない労働人口と市場規模で有るにも拘わらず、日本の労働者の賃金が横ばいないし漸減した9年間に倍増し、日本の労働者より高い賃金を受け取ることができるようになった事実を分析し、ここから学んで政策化していくべきである。
 こうした作業ができたならば、腐敗臭を放っている自公政権を打倒することが出来るであろう。


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