共産主義者同盟(火花)

国際連合体制の終焉(2)−戦争を抑止できない人類

渋谷 一三
456号(2022年6月)所収


 1945年以降も世界は常に戦争にまみれていた。
 朝鮮戦争。ベトナムへの侵略反革命戦争。中国によるベトナム侵略戦争。ソ連の介入によるアフガン戦争。イラン・イラク戦争。イスラエルによるパレスチナ侵略戦争の常態化。イラクによるクエート侵略戦争。これに続く米国による第1次イラン戦争。米国による「アラブの春」作戦によるイスラム諸国への政権転覆作戦、これによるリビア「内戦」とシリア「内戦」。同じく「アラブの春」作戦の結果急成長した「イスラム国」殲滅を目的にした米国による第2次イラン戦争。
 スーダン内戦と南スーダン独立戦争。アルゼンチンからフォークランド諸島を武力によって現状変更したイギリスの軍事作戦。東チモールのインドネシアからの独立戦争。
 この他にも軍事作戦や短期の戦争はまだまだあった。

 『20世紀は戦争の世紀』と誰かが言い出し常套句にまでなってしまったが、そんなことはない。第2次世界大戦後も地球上のどこかで必ず戦争が行われていた。
 『各国が平等な1票を持ち、理想主義的すぎたために第2次世界大戦を抑止できず短命に終わった国際連盟』と、5大戦勝国に拒否権という特別な待遇を与える「現実主義」によって安全保障体制が保たれたことになっている国際連合(United Nations---連合国)とで、大して違いはなかった。

 ロシアがウクライナに侵攻して3カ月、国連は無力さを露呈した。国連のこの無力さは戦後ずっとそうだった現実なのだが、ロシアによる侵略戦争は、この現実を改めて鮮明に浮き上がらせた。

 産業資本が支配的だった産業資本主義段階から金融資本が支配的になった20世紀初頭、戦争の根源は金融資本主義にあった。ヒルファーディングによる金融資本概念の提出を継承発展させて、レーニンが帝国主義として措定した。
 社会主義者はこの時点で納得し、帝国主義を廃絶出来れば戦争の根源はなくなり、人類は戦争の災厄から解放されると楽観した。革命戦争こそが戦争の災厄から人類を解放するという図式を素朴に信じた。
 だが、第2次世界大戦後の80年近くの歳月が、この素朴な「信仰」にNOを突き付けた。資本主義は廃絶出来てはいないが、中国やロシアなどが戦争のもう一つの震源地であることがはっきりした。中露が帝国主義段階の国家と規定する以外に先の『帝国主義の廃絶が戦争の物的根拠を廃絶する』というドグマを存続させることはできない。
 中露が遅れてやってきた帝国主義国家(国家独占資本主義の発展としての)と規定することは有り得ないことではないが、論理的整合性を追求するための思弁操作の匂いがぷんぷんする。

 プーチン・ロシアによる侵略戦争は社会主義者に、『人類の、戦争からの解放』というテーマでも歴史的再検討を要求している。




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