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立憲民主党 第3党へ転落の危機
―政権担当能力のなさを露呈している代表選挙/『日本維新の会』、支持率0.1%差に迫る―

渋谷 一三
451号(2021年11月)所収


<はじめに>

 立民党の代表選挙の告示に合わせたマスコミの世論調査で、立民党の支持率は4.9%、維新の会は4.8%になったとの報道があった。
代表選の過程いかんによっては、両党の支持率は逆転する可能性が大いにある。

本稿は、立民党の凋落の原因を指摘し、ファシズム政党と認識されていない維新の会の躍進を阻止せんとするものである。。

1.バイデン政権の間に台湾を「解放」する武力侵攻の可能性が高まっている習近平政権

 バイデン政権の支持率は低迷し、来年の中間選挙での民主党の後退が濃厚になっている。
 これは、トランプ氏と比べると、対中強硬度が低く、中国が武力行使をしてきた際に、軍事作戦を行うことが出来るかどうか不安視されていることにもよる。
 少なくともトランプの恫喝は、相当の迫力をもって恫喝として通用する抑止効果がある。これに対してバイデン大統領の弱気に見える姿勢は、かえって習近平政権の「台湾武力解放」を招きかねない不安がある。

 この緊迫した状況に対して、立民党と維新の会の軍事に関する態度を対比してみる。

2.軍事・外交に関しては、現在の水準を踏襲すると明言している「維新の会」

このことは、大変重要なことである。
仮に革命政権が成立したとしても、旧政権が結んだ国際条約を一方的に破棄するようでは、反革命国際干渉を招くまでもなく、国際的信用を失い、国際条約を締結できない政権になってしまう。だから、現在締結している国際条約を引き継ぐことを無条件に前提することは、政権交代を目指す政党の無条件の条件となる。
レーニンですら、この現実から出発した。
このことを前提にするならば、立民党は現在の日米安保条約を引き継ぎ、それをより広いNATO型の安保条約にするのか、日米安保を廃棄する方向にするのかなど、ビジョンとともにその変革の方向性を提示していく必要がある。
だが、この「現実から出発する。」という第1前提すら未だにクリアできていない立民の姿が代表選で露呈している。

4氏全員が「普天間飛行場の辺野古への移設の見直し」を掲げているだけ。中国の「武力侵攻」がある場合どうするのか。安倍政権が?んだ米国の要求を踏襲するなら、後方支援のみならず、米軍への攻撃を日米共同で反撃する軍事力行使もすることを決定して置かねばならない。これが、あの安保国会で決まってしまったことなのだから。
さらに、習近平政権による武力侵攻を阻止するためにどのような軍事行動を取るのが有効なのかをいくつか想定し、それを実行できる党内体制を構築しておく必要があるが、こうしたことは「なんとなく反戦」の社会党以来の伝統の気分で、現実的対応が全くとれていない。
また、辺野古移設見直しを言うなら、「日米地位協定の改定-=対等なものに」と強く具体的に打ち出すべきだが、こんなことすら言えず、「見直し」などと曖昧な表現をしているだけである。
これで事足れりとして、自民党の総裁選をなぞったシステムの代表選で安穏としている。政権を交代できるわけがない。

3.維新の会の、反『一日在籍満額支給』キャンペーンの成功

今回の選挙で当選した議員が、10月31日付けで認定されたため、たった一日在籍しただけで、月100万円の文書交通費や秘書給与までが満額支給されているのは、「身を切る改革」ができない象徴として、「維新」からやり玉に挙げられている。

落ち着いて考えてみれば、10月分を満額支給されるのはちっとも不当なことではない。
議員宿舎への引っ越し代、翌日には登院するための飛行機・新幹線代(もっともこれは別枠で本人分は無料券が発行される)、議員宿舎の所在地を書いたはがきの送付やなんやかや、特に初当選の議員には通常の出費以外の大きな額の出費が必要になる。
その初期費用は出来るだけ早く支給してあげる必要があり、臨時出費は出してあげる必要がある。維新の言う「庶民感覚」で言えば、新入社員は大枚の初期出費をまかなうため、サラ金から金を借りて初任給の日まで耐えるようなものだ。

その上、こうした費用は、行政機構の無駄や予算の内容の無駄などと比べれば微々たるもので、「在籍一日で一カ月分満額支給!」キャンぺ―ンは、これ見よがしのパフォーマンスに過ぎない。
ところが、これがファシズムの手法の一つで、具体的対象を攻撃することで、何を目指しているかをはっきりと宣伝できる。
行政や議員などへの反発が出来るほど貧しい下層の怒りを組織し、「あいつ等の無駄遣いを削った財源で、中学校の給食が実現する」とでもいうような、具体的達成感の幻覚を味あわせることが出来る。

全く異なるのだが、現象上は「れいわ新選組」も同じ手法で得票を伸ばしている。
四の五の議論して障害者への社会インフラの整備を訴えるまどろっこしいことをしているよりも、身体障害者を国会議員に当選させてしまえば行政は一発で国会内とその周辺の社会インフラを整えてしまう。四の五の議論の数10倍も速いのは確かだろう。
これもパフォーマンスなのだが、こうしたパフォーマンスが大事で効果的なのは、認めたくなくても認めねばならない事実である。
目指していることを具体的一歩前進で鮮明に示すことができるからである。

先に挙げた辺野古の例で言えば、「日米地位協定の改定」という具体的行動をはっきりと掲げることで、本質が鮮明になる。地位協定の改定なしに、普天間基地撤去問題の根本的解決はないことを大衆は知っている。
ここを誤魔化して、「見直し」などと訳の分からないことを言っているようでは、支持を受けられないのは当然のことだ。
立民党は、こうしたプロパガンダの手法の点でも著しく立ち遅れている。

4.何も煮詰めて考えていない経済政策

ここも4氏とも、ニュアンスの違いすらあれ、大企業への課税強化という「唱え言葉」で、お茶を濁している。
所得税の累進性の復活・法人税下げ過ぎの復古・キャピタルゲインへの課税強化。
こんなものは、経済政策と呼べる代物ではない。
尤もこれは、「新しい資本主義」などという経済学者ですら誰一人として言うことすらできないことを、臆面もなく言っている岸田氏と大差はない。岸田氏はいつから全知全能の神様になったのか?君の言っていることは、ケインズ主義への部分復帰願望だが、ケインズ主義が終焉するしかなかった根拠すら全く学習していない。
外国に報道されるに及んでは、日本政府の水準を疑われる恥ずかしい事態である。

5.そんな こんな で、マスコミも報道しなくなった立民党代表選

 自民党総裁選を衆議院選挙前に延々と垂れ流し、自民党の選挙キャンペーンをただでしてあげたマスコミは、批判を懼れて、立民党の代表選を自民党と同じように、逐次追う態勢を組んだ。
 もちろん、逆の批判をおそれて、報道総時間数は圧倒的に少なくしてだが。
 それでも、たかが野党第1党の代表選を追ってくれるというのは前代未聞のチャンスだった。
 それが、小川氏以外は全くの勉強不足・準備不足での「片手間での会見」とでもいうべきお粗末な姿勢でマスコミの前に出てきた。
 この態度同党の支持率低下に“貢献”したことは間違いない。

6.立民党の改革案=この実現無くして同党の躍進はない。

@ 過半数を越えた労働者下層階級の利害を代表する政策

財源は全て、10万円給付の公明党バラマキを辞めることで十分お釣りがくる。
・臨時生活保護制度の創設
住宅や預貯金があっても、コロナ禍で就職出来なくなっている人々を対象に最大半年間10万円を給付する。
・失業保険給付の期限を最大2年間まで延長する。
これによって、コロナで失業したものの再就職ができず、6か月を過ぎた人々を救済できる。
・バイト学生のコロナ前3カ月の平均賃金を最大2年間にわたって給付する。
実際はネットでしか受講できない学生が授業料を払えず退学するケースや、
風俗関連のバイトをするしか学業を続けられなくなっている選択をせまられている女子学生など、下層学生の救済ができる。
これは例示である。
具体的に下層を支援するとはこういうことである。
支援の形を具体化できないということは、立民党の候補者が何も真剣に考えて
いない証左である。

A 野党協力は維持する。

今日、日本共産党の支持基盤は民主商工会に結集する小・零細業者と、大企業・官公労に就職している労働者上層部である。
それゆえに、野党協力という長期的には同党の支持基盤を崩していく戦術を採用せざるを得なくなっているのである。今、この戦術を採らなければ、同党の得票は、これまでの長期低落から比較的鋭い低下曲線を描くことになる。
これが、同党が大胆なこれまででは考えられない、方針の大転換を成し遂げた物質的根拠である。
野党協力をした選挙区は十分に効果を発揮している。

野合だって?
冗談ではない。選挙協力とはそんなもので、きちんと政策のすり合わせをした上、共産党は閣外で協力するという正しい態度をとっている。閣内に入らないのだから立民政権の政策に何ら影響を与えない。立民の政策が共産党の気に入らなければ次回の選挙協力はないし、法案への賛成が得られないだけのことである。

自民党などは政教分離の原則を破って特定宗教の政治部門との野合をしている。
いまや公明党の支持なくして自民党議員の何割が当選できるというのか。
大阪の維新をみれば分かる通り、公明党無くして自民党はない。それが現状だ。
創価学会と肩を並べていた立正佼成会は、自公政権の間に信者数も大きく水をあけられている。不満も鬱積しているはずだが、安倍派の右翼路線に取り込まれて自民党支持を続けている。

立民党は立正佼成会を自民党から引き剥がす政策を打ち出すべきである。
政教分離をはっきりと宣言し、自民党と公明党の野合・癒着を具体的に暴露するキャンペーンを行えるブレイン集団を作るべきである。


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