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新型コロナ肺炎とファシズム

渋谷 一三
444号(2020年12月)所収


第3波に入って、声高に、コロナに関する法的強制力を伴う法整備を要求する輩

 第3波の感染拡大が始まって、いよいよ大阪での医療崩壊が始まった。
 GO TO TRAVEL、GO TO EAT、GO TO 商店街などの移動・3密奨励策によって、起ることが予想されていた事態ではある。
 大阪府知事も東京都知事も、酒を提供する飲食店に対し、夜九時までの時短営業を要請することを決めた。東京都の場合は3度目になる。大阪府の場合は3度目の地区も出た。
 辛うじて倒産を免れてきた店も、「勝負の3週間」もの長きに亘っての時短営業で持ちこたえられなくなる店舗が増えることが予想される。
 こうなると、時短要請に応ぜずに営業する店が出てくるのは止むを得ない。
 ところが、時短営業に応じない店が出ると、客はここに集中することになり、「反社利益」(このような用語が生まれている!)が生まれることになる。真面目に時短に応じている店が「バカを見る」ことになる。
 こうした事態は、橋下徹氏には耐えられない事態に映る。これらの人々は、欧米のように法制化してLock Down (都市封鎖と訳されることが多い)が出来るようにしたらよいと力説し始めた。
 法律で強制出来るようにすれば、補償金を払う必要がなくなる。他方、今の日本のように「要請」する方式だと、補償金額が少なければ要請に応じる店舗は極端に減るため、実効性を持たせようとすると多額の財政支出が必要となり、財政破綻が必定となる。
 かくして、これらの人々は、強制出来る法体系の整備が必要だと力説する。

法律でロックダウンや時短営業を強制すれば、欧州のように暴動が起きる。

 現在の主な感染経路は飲食中の飛沫感染であることが明らかになっている。
 だから、家庭内でも感染するし、居酒屋での談笑でも感染するし、日中のランチでも感染する。
 こうであってみれば、「時短営業命令」は誤った政策であることが分かるだろう。
 日中のランチでも、『会話をする時は必ずマスクを着ける』ことが慣習化されなければならない。談笑しての飲食は、感染させるからだ。
 なのに、夜の営業のみ時短を命令すれば、「要請に従わない」自由がない以上、倒産が目に見えている業者の不公平感は爆発する。昼間でも感染はする。9時以降の夜でも飲食する時以外は必ずマスクをするにすれば、感染は防げる。
 政策が誤っているのに、命令され、死活の淵を歩かされる。誤ったことを命令しているお前は何様だという怒りになる。実際、こうした法整備をした独・仏では暴動が起きている。

私権制限法案はファシズム。密告と政策批判御法度のファシズム社会を生む。

 『昨日までGO TOトラベルが感染拡大をさせたわけではないと殆どの放送局・番組が言い、登場する評論家は口々にGO TO 政策は続ければよいと、この政策に疑問を持つ「素人」に説教をしていた。 それが、感染の急拡大が医療崩壊の危機を孕んでくると、途端にマスコミに登場しなくなった。』(拙稿 新型コロナ肺炎第3波への態度)
 安倍政権は「緊急事態宣言」が妥当だったのか否かの評定を行わなかった。行えば、今後の参考基準づくりが出来ただろうが、総括作業で批判にさらされることを良しとしない体質だからだった。
 これが、罰則を伴う強制力を持った法になったならば、ますます批判に甘んじるわけにはいかない。間違った政策だと認めた途端に、補償問題が発生するからだ。勿論、幾人かの首が飛ぶ。
 こうなると、批判したように聞こえる言説も狩りの対象になってくる。人々は忖度して話し、出来るだけ個人の見解を述べることを避け、嫌いな人間の言質を密告するようになる。
 戦前を彷彿とさせるファシズムの社会である。
 また、これは自由な言論活動が死滅してしまう社会であり、自然科学の分野ですら発展が出来にくくなる社会である。

無自覚なファシスト

 現在、欧州や中国の「私権を制限する法体系」を理想として、その実現を力説し始めた橋下徹氏は、自分の言っていることがファシズムからでてくる発想だとは思ってはいない。ましてや、自分がファシストだとも思っていないだろう。
 それが、ファシズムの特徴でもある。


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