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新型コロナ肺炎第3波への態度
―右往左往しバラマキしか能の無い自民党政権―

渋谷 一三
444号(2020年12月)所収


1.安倍首相の突然の全国一斉休校措置は過ちだった。

拙稿「コロナ肺炎に見るファシズム」シリーズで述べたように、全国一斉休校措置を主題とする安倍政権の緊急事態宣言は、「日本維新の会」への政治対抗上、首相安倍があせって出した極めて政治的なもので、疫学上は必要なものではなかった。
 実は、すでに新型コロナ肺炎でウーハン(武漢)が都市閉鎖された(1月23日)ことが報道されていたにも拘わらず、安倍政権は、春節(1月24日開始)の中国人旅行者を大量にノーマークで日本国内に招き入れていた。
 この失政を隠すためもあって、安倍は唐突な緊急事態宣言を発した(4月7日)。

筆者は、拙稿「新型コロナ肺炎に見るファシズム」(3月29日付)で、すでに、

1. ウイルス性の感染症を国境で留めることは出来ない。
2. 医療崩壊が起きると感染爆発が起きるので、感染の拡大を出来るだけ緩やかにする。
3. 例年の死者数の多少の増加は覚悟すべきで、社会活動が委縮すれば社会崩壊が起き、克服に何年もかかる大不況が人を殺すことになる。

ことを前提に施策を考えるべきである。
と、提言していた。

 事実はこの通りに推移した。
 5月25日まで続いた緊急事態宣言は、全学校の休校を骨格としていたが故、保育園児はもとより、給食にも依存している小学校児童を持つ労働者を中心に、就労が著しく困難になり、パート労働者の解雇や母子家庭の母親労働者の解雇などが相次ぎ、下層労働者が大打撃を受けた。
 また、一時的下層労働者たる大学生も収入が激減し、休校もあいまって、帰郷や休学・退学を余儀なくされた。
 
 全国の学校の一斉休校は必要なく、感染状況を見て、インフルエンザのように、学校閉鎖を行えば対応できるものだった。事前に流布されていた情報の通り、死者はインフルエンザと同等かそれ以下だった。
 インフルエンザ流行時にはなかった、ソーシャル・ディスタンスの概念やマスク着用の習慣の慣習化などの環境要因の進歩の結果、新型コロナ肺炎による死者はインフルエンザより遥かに低かった。
 また、距離を取ることとマスクを常時着用することとで、今年のインフルエンザの罹患率は例年の半分になり、コロナとインフルの死者数の合計は例年のインフルエンザの推定死者数を下回っていることが明らかになった。

 自民党が作った分科会なるものは、こうした総括すらしていない。
 安倍元首相の誤りを白日の下に晒すことになるからだ。

 自殺者は例年の4割増しになっている。

2.GO TO 政策が、第3波の感染拡大を招いた。

 GO TO トラベル政策に対して、筆者は必要ないことを強調してきた。
 富裕層が旅行に行くのであって、生死の狭間を生きている労働者下層には何の意味も持たないからだ。また、これで潤う観光関連業者は大手であって、ペンションなどの零細業者は逆に客を奪われるだけであることも指摘してきた。
 都道府県を跨いでの移動制限を撤廃するだけで、自然増加に任せれば医療崩壊を招くような急速な感染拡大は起こらない。医療崩壊さえ起こさないように注意すれば、新型コロナ肺炎は距離を取ることとマスクを常時着用することで克服可能なのである。
 このことは拙稿では、4月26日に指摘している。

 だが、安倍政権は大手観光業者・旅行代理店を救済するために、GO TO政策を強行した。旅行・飲食・商店街の3つのGO TO 政策を一気に進めた。当然のことながら感染は急速に拡大する。
 それでもなお、非を認めず、『GO TO トラベルの結果の感染者は総計で127名しかいない。』だの、『今日までのところGO TO トラベルが感染拡大を招いたというエビデンスはない。』だのとうそぶいて、この政策を止めなかった。
 ならば、GO TO政策を続ければよいのだが、今度は一転して、緊急事態宣言の検討を水面下で始め、都道府県に休業要請をさせている。全く定見のない無能ぶりを満天下に晒している。

3.『朝令暮改』に、きっちり呼応する評論家・マスコミ

 昨日までGO TOトラベルが感染拡大をさせたわけではないと殆どの放送局・番組が言い、登場する評論家は口々にGO TO 政策は続ければよいと、この政策に疑問を持つ「素人」に説教をしていた。
 それが、感染の急拡大が医療崩壊の危機を孕んでくると、途端にマスコミに登場しなくなった。
 答えは簡単である。
 マスコミが政権にすり寄り、政権を支持する言動をする評論家を登場させ、政権からの嫌がらせや不利益を蒙らぬようにして来たからである。
 今日のマスコミの危機は、これに留まらない。
 多くの番組が司会者を芸能プロダクションの芸人に任せ、放送局が責任を取らないで芸人に責任を取らせる体制にしている。さらに、コメントを芸人にさせ、この点からも放送局が発言の責任を取らなくていい体制にしている。
 呆れかえったフェイル・セイフ システムを完成させているのである。
 今日のマスコミのほとんどが、報道機関でなくなっている。日本の言論・報道の危機が進行していることが、はからずも白日のもとに晒された。

4.報道の危機=報道管制が敷かれているのか

 第3波の感染経路の特徴として、家庭内感染と全世代感染の二つが挙げられている。
 これが事実であれば、学校での感染が広がっているはずである。
 小学校での児童の活動の様子をみれば、それが飲食店での大人のマスクを外しての会話どころではない飛沫の浮遊状態である。学校でクラスターが発生しているはずだが、11月末現在、新潟県柏崎の一例が報道されているだけである。
 新型コロナ肺炎の性質上、日本人の若者は感染しても重篤化せず、知らぬ間に回復していることが推察できるゆえに、学校でクラスターが発生しているにもかかわらず、報道すればあの魔の全国一斉休校をしなければならなくなることを懼れて報道管制を敷いているとまで断定することはできないが、第2波時における「接待を伴う飲食店」クラスター報道と比べると、どうも報道機関に知らせていないか、報道機関が「自主規制」している疑いが濃い。
 この点からも、日本の報道機関の崩壊が進んでいる可能性を危惧すべきである。

5.再度の緊急事態宣言は必要でない。

 当時の首相安倍の大失態として緊急事態宣言が発せられたことは何度も述べてきた。適度の距離とマスクの常時着用を徹底すれば、通常の経済活動・日常生活を送っていて、何の問題もない。
 緊急事態宣言の「発出」には、断乎反対すべきである。


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