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安倍氏の「北朝鮮」利用政治(2)

渋谷 一三
422号(2018年3月)所収


3.北の核保有・ICBM完成を黙認する以外にはない日米韓

 冬のオリンピックが終わった。
 選手団と応援団を韓国に送りこみ、『「対話」ムードの醸成』という文政権の観念的政策に乗った。これによって金正恩政権は、確実に米国に届き「安全に」大気圏に再突入できるミサイルの開発と核弾頭の小型化をするための時間稼ぎをしている。
 おそろしく政治に素人か、隠れ北朝鮮支持者であるかの文大統領は、更なる南北融和路線を追求しようとしている。
 もちろん、金正恩政権は本気で南北融和をめざすほど夢想家ではない。ムンジェイン氏よりはるかに現実主義者である。核を放棄すれば、リビアの二の舞になることは百も承知である。北朝鮮が核を放棄し、朝鮮半島の非核化という提案を呑むことはない。
 仮に朝鮮半島を非核化したとして、それは何の意味も持たない。すぐそばの日本には核兵器があり、朝鮮を属国化したい大国主義中国の核の脅威がますます増大するだけのことである。
 朝鮮半島の非核化という構想は、北朝鮮にとって全く意味がないばかりか、世界の核兵器廃絶運動にとっても何らの「一歩前進」にもならない。
 韓国だけに核兵器が存在する現状より、北にも核がある方が北朝鮮の政権にとって良いのは自明のことと言えよう。
 北が核を放棄することはありえない。

 北に核放棄をさせるためには、物理的強制以外にはない。
 物理的強制として現在日米韓がとっている方策は、経済制裁(封鎖)という方策である。だが、ロシアが参加していないことで封鎖網は完成しない。また、洋上の積み替えによって、一割程度の「水漏れ」が起きている。ダメージを与えてはいるが、ミサイル開発用部品の調達を不可能にしているとは言えず、ダメージを受けているのは北朝鮮の民衆である。このダメージによって北民衆が立ち上がり金政権と戦うということはない。
 北の民衆が政権に幻想を持っているから蜂起が起きないのではなく、既に徹底的に疲弊させられているから、蜂起する条件が奪われているからだ。
 したがって、経済封鎖を完成させたところで、民衆の疲弊が進行するだけで、それはますます内乱を遠ざける皮肉な結果をもたらすだけと予想できる。
 次に米国が検討しているのは、イラクやパキスタン,パレスティナで実験済みの無人機による空爆殺害である。これは、現在も徹底的に追求されている。米国内でコンピューター画面を見ながら操作するだけでピンポイント暗殺が出来るのだから。
 さらに、トランプ政権が踏み込んで検討しているのは、大規模な先制攻撃で北のミサイル発射を封じこむ軍事侵攻である。これが可能であれば、逡巡する必要はない。米国に到達する核ミサイル開発を阻止することは米国にとって至上命題である。
 さまざまなシミュレーションを繰り返していると推測できるが、日本への報復通常ミサイル攻撃を完全にシャットアウトする保証がなく、日本政府の反対にあって実行出来ずに二の足を踏んでいると思われる。(北は同一民族の韓国への報復攻撃は避けるはず。反日感情を充足させる方が得策である。)
 先の無人機爆殺も失敗すれば、日本への報復が確実に行われる。
 仮に金正恩の暗殺に成功したとして、北の支配層が日本への報復攻撃をしないと考えることはできない。何もしなければ、続いて米国の軍事侵攻が起き、北の支配層は一斉に捕縛されるからである。
 かくして、米日は、いずれ北の核ミサイルが完成するのを、手をこまぬいて見ている以外になく、北の核保有を追認することで、暴発をさける道を探る以外にはない。
 なんのことはない。それはすでにインドやイスラエル,パキスタンの核保有に対して米国が取ってきた道である。


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