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安倍氏の「北朝鮮」利用政治
―北の脅威を喧伝し、日本を監視社会に着々と変化させている―

渋谷 一三
422号(2018年3月)所収


<はじめに>

 朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮と略称する。民主主義でも無ければ人民共和制でもなく、抑圧された人民の気持ちを忖度すれば、「正式名称」=自称を使い続ける気持ちにはなれない。)の核開発とその運搬手段であるミサイル開発が急速に進展し、大詰めを迎えている。
 早晩、北朝鮮は核保有国となり、ICBMを完成させて、米国を核ミサイルの射程圏内に収めることになる。
 この20数年、米国は北朝鮮の原子炉を軽水炉にさせることをはじめ、その核開発を阻止しようとあらゆる圧力を駆使してきたが、結局、北朝鮮の核兵器開発を阻止することはできなかった。
 世界的に見れば、米国側がイスラエルとパキスタンの核開発とその保有を承認することで核拡散を推進してきたのに対し、反米国側が一つ核拡散を行ったということに「すぎない」。
 この核拡散に対して、安倍政権は、核兵器廃止に向けての世界各国の条約提起に反対し、核拡散阻止―核兵器廃絶に向けた世界の人民に対して反動的役割を果たしている。
 世界で唯一の被爆国として日本が有してきた特別の位置を失わせ、核兵器廃絶運動にとって取り返しのつかない愚かな態度を取ってしまった。安倍政権は米国の核の傘の下に入っている現実を、この件に限ってはわざと認め、北朝鮮に圧力をかけているつもりでいるが、とんでもない勘違いである。
 北朝鮮から物事を見れば、日本・韓国にある核の脅威に常に晒されてきて、通常兵器の脅威にも晒されてきたのである。東西冷戦時代には中露の核の背景で韓日の核の傘の脅威に何とか対抗することが出来ていたが、冷戦終了とともに、この構造は壊れてしまった。
 やむなく、中国との関係強化を追求してきたが、中国が大国主義・覇権主義の国家へと変質したことにともない、過去二千年そうしてきたように、中国の顔色を窺いながら国家戦略を練るしかない半属国的な地位へ転落することを余儀なくされた。
 金正恩はこの地位をよしとしなかった。中国の手代になっていた張成沢氏を処刑し、ロシアに接近することによって中国の支配をまぬがれる道を選択した。
 こうした位置からすれば、自国の核武装は喫緊の最重要課題であり、米国の政権転覆活動や中国の属国支配から自由になる為の、譲ってはならない是非とも実現しなければならない課題である。
 ましてや、制裁解除と引き換えに核を放棄したリビアが米国の軍事進攻に遭い、カダフィ国家元首が暗殺される事態を前にして、北朝鮮が核放棄をするはずがない。そんなことをすれば、米国の軍事侵攻にあい金正恩は暗殺され、政権が無くなることは火を見るより明らかである。
 北朝鮮が核を放棄するなどという愚を犯すはずがない。

1.北の核は、「核が抑止力になるのか」の実験場となっている。

 日本の原発をピンポイントで狙って破壊できるミサイルを完成させるには、北朝鮮が現在持っているミサイル制御・誘導システムでは無理である。これには高度な技術が必要である。それより、現在のミサイルに核弾頭を付けて漠然と東京を狙う方が、はるかに容易で実現可能である。
 したがって、今現在、金正恩政権をただちに転覆したいトランプ政権がトマホークを撃ち込まないのは、核の抑止力が働いている結果である。これがなければ、トランプ政権はとうの昔にトマホークで平壌を火の海にし、金正恩暗殺作戦を実行していたであろう。トランプ大統領は、歴代の米民主党政権および共和党本流のブッシュ政権が、北の核開発・ミサイル開発が進む前に暗殺作戦を実行しなかったことを公然と批判しているのである。トランプのような米国ファシストは本気でそう思っている。
 核廃棄運動が直面しなければならないことは、核武装が核戦争および大国による通常兵器による戦争を抑止する力を持っているという事実である。この事実を認めず、核廃棄という理想を掲げるだけで「良心に訴える」運動を続けてきたからこそ、現実の核拡散に却って無力であったと言える。
 今回の北朝鮮の居直りは、核拡散阻止運動にとっても教訓を提示している。
 確かに「北」にとって、核は抑止力になっている。

2.北のミサイル発射・J Alertで、北に対抗するのが優先課題だと声高に叫ぶ煽動行い、相次ぐ閣僚の問題発言・差別発言を「消去」することに成功。

 北方・復興相の「(災害が)東北で良かった。」発言や、自衛隊を選挙に利用する稲田防衛相の都議選での発言、野放しの喫煙に規制を求める議員に対し「がん患者は働かなければいい。」と野次る何某相などなど、森友・加計学園問題以外にも次々に起きる極度に質の低い自民党議員の発言など、北のミサイル発射を喧伝し、Jアラートで携帯電話に緊急情報を流し、北への敵がい心を煽り、忘却させることに成功した。
 また、監視カメラの設置も促進し、監視社会を完成させた。

3.北の核保有・ICBM完成を黙認する以外にはない日米韓

(この稿は次号で。)


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