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舛添馘首と小池非公認の原因―権力をおもちゃにする=森

渋谷 一三
410号(2016年8月)所収


<はじめに>

 ベテランのマスコミ関係者全員が知っているのに、固く口を閉ざしている舛添都知事の辞任までの本当の事情は、舛添都知事がオリンピックに500億円の都負担を拠出することを拒否したことに起因する。
このことが、オリンピック組織委員長の元スポーツ族議員の森さん逆鱗に触れる。「俺の面子が潰された。」とでもいうものだ。
これに輪をかけて、当初予定の新国立競技場建設費用の過小見積もりが露呈し、法外なデザイン料をドブに捨てる事態になった。そればかりか、森さんの推奨する代替案が却下され、森さんの気に入らないデザインが採用されたため、東京オリンピックで使った聖火台が取り付けられないと文句を言い出す始末。
デザイナーは、会場内のどこであれ聖火台を取りつけることは可能だと言っているのだが、臍を曲げた森さんのご機嫌を取り繕う取り巻き連中が、わざわざ場外に聖火台を付けることにして、いかにこのデザインが不良品なのかと印象づけようと躍起になって辻褄合わせをした。
さらにエンブレムのデザイン盗用問題が生じ、これまた自分の意見に従わせる快感を味わってしまった権力の虜の意見が却下されるに至って、オリンピック組織委員会が老害の独裁引き回しによって組織の体を為していないことが白日のもとに曝け出されることとなった。
森さんが、元首相という権力を駆使して、舛添の追い落としを命令したであろうことは想像に難くない。
恐ろしいのは、この真相をマスコミの誰も暴露しないことであり、文春のように、マスコミが森指令の下働きを忠実に実行するようになっているという実態である。

1. 舛添氏の理不尽な政治資金の使途は合法なのである。

 政治資金規正法自体がザル法で、舛添さんのように家族でホテルに泊まっても会議をしたと言えば支出が認められるようになっている。
だから舛添さんのように使っている議員はいくらでもいる。
だから舛添氏自身もタカを括っていたと思われる。
事実、自民党も辞任する必要はないとお墨付きを与え、舛添さんが辞任せざるをえなくなる一連の道に足を踏み入れるように誘導した。まんまとこの手にのった舛添さん、情勢が辞任なしでは済まなくなったと説得され、「ぼくだけじゃない!」と叫ぶこともせずに辞任していった。おおかた、政治資金の舛添流使用は普通に存在すると暴露しようものなら、永久に政治生命を奪うぞと脅され、やっと自分が嵌められたことに気付いたのだろう。「王様は裸だ」と叫ぶ度胸も政治的資質もなく、自分だけが「せこい」政治資金の「流用」をしたことにされて、永久に政治生命を奪われたことを自覚することもなく、都庁を去っていった。
気色ばんで人を攻撃することは出来ても、自己犠牲を厭わず大義に殉ずる覚悟がないこの人物の本質が、「私刑にされた」認識すら持てずに「死刑」にされた哀れな結果を必然させたと言えよう。
せめて「違法ではない。」「このような支出をしている議員は与党だけではなく、野党の中にもいくらでもいる。」と暴露して政界を去れば、歴史的貢献になり、ザル法の改正が日程に上ったであろう。
未だに、ほとぼりが冷めたら政界に復帰できると言い含められ、これを信じ、彼の前任の辞任に追い込まれた都知事がテレビ復活を足がかりにして「復権」しているように、自分の「復権」を夢見て、墓穴に入って行った。
最後の最後まで、自己の利益を優先することしかできない小人物の末路だった。

2. 自民党分裂都知事選の立役者=森さん。

「政界渡り鳥」=小池さんの権力者へのすり寄りの巧みさは有名である。
なのに、権力者であったはずの首相に摺り寄らなかった小池氏に面子を潰された森さんの小池さん嫌いもまた有名である。
選挙戦中盤の世論調査では小池氏は1位でリードしており、増田氏を擁立しなければ自民党候補が都知事になることは間違いなかった。
こんな楽勝な選挙を、自民党の分裂選挙にしてしまったのは、舛添さんを辞任に追い込んだ理屈と同じである。自分の言うことを聞かない生意気な小僧を叩き潰した後釜に、生意気な小娘が納まるなどということはあってはならないことである。それでは、何のために生意気な小僧を叩き潰したか分からなくなるというものだ。
かくして、自民党は分裂選挙に突入した。
自民党は病んでいる。


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