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エジプトの怪

渋谷 一三
380号(2013年7月)所収


 エジプト軍が普通選挙で選ばれた大統領を引きずり降ろした。クーデターである。だが日本のマスコミは一斉に「事実上のクーデター」という新造語を使い始めた。各社による「打ち合わせ」があった証左であり、某筋からのマスコミへの圧力があった証左である。
 この一事からも、米国の圧力があったことは容易に推察される。
 また、日本のマスコミがジャーナリズムの魂を失った宣伝・煽動媒体になり下がったことも示している。
 「アラブの春」策動が唯一成功したのがリビアである。成功したのは言うまでもなく公然と軍事介入し、「抵抗勢力」の生命を抹殺したからである。
 米国はシリアに対しても公然と軍事介入することを模索してきて、遂にブッシュよろしく「シリア政府軍が化学兵器を使用した」として公然たる軍事介入に踏み切ろうとしている。米国の姿をかくした軍事「支援」では勝てないことに直面したからであり、間接的介入では反米活動を増大させるだけでイラクの二の舞になることに直面したからである。泥沼化したイラクからようやくの思いで撤兵し、米軍撤退によって治安が改善したことを目の当たりにしたオバマにとって、シリアの泥沼化は避けたいことである。
 一方、米国在住ユダヤ人から多額の政治献金をもらっている米国民主党にとって、イスラエルに敵対する国家を消滅させることは論証不要の正義命題である。
 シリアへの公然たる軍事介入を急ぐオバマにとってエジプトのイスラム政権は邪魔者以外の何者でもない。早急に排除しないと、シリアへの公然たる軍事介入ができない。また、地理的にもエジプトが一番好都合な出撃拠点であり、EUに加盟してしまったトルコから出撃することはほぼ不可能であることから、他に選択肢はないと思われる。
 要するに、シリア政府転覆・親米・非反イスラエル政権樹立(※)という命題を実現するために、反イスラエル・親シリアのムスリム同胞団の政権など許しておいてはいけないのである。
 かくしてエジプトにクーデターを指示した。スノーデン氏の持っている自らの命を守る未発表情報には一連の「アラブの春」の反イスラム反革命策動も含まれているだろう。
 オバマ大統領がなりふり構わずスノーデン氏の逮捕もしくは暗殺を要求している背景にはこうした情勢が関係している。
 エジプトのクーデターを容認することは、民主主義の大義の下に米国の利害やシオニストの利害を押し通している構造と矛盾する。米国はクーデターに関与していないというポーズを取り続けなければならない。
 この虚構を暴くとともに、この「弱点」をつついて、「クーデター許すまじ」の声を高くあげていこう。

(※編集部注)反イスラエルではない政権の樹立、の意


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