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見え透いた米仏のリビア政権転覆策動(2)

渋谷 一三
362号(2011年11月)所収


<はじめに>

 カダフィ大佐が虐殺された。米国の策動に乗ってしまい、核を放棄し、査察を受け入れ経済封鎖を解いてもらったことが、文字通りカダフィの命取りになった。
キム・ジョンイルにはいい教訓になった。ジョンイル・ジョンウン政権は、核開発とミサイルの性能向上にますます邁進し、核武装の完成を急ぐであろう。
米国の「アラブの春」作戦の反動性がジョンイル政権の核武装の完成という事態となって結実するであろう。
日本は原発に高性能のミサイルを打ち込まれれば終わり。このミサイルが核弾頭を積んでいれば数秒のチャンスの間に幸運にも打ち落とせたとして、核爆発の洗礼を受けることになる。
朝鮮民主主義人民共和国と日本の軍事関係はこうした事態の下に置かれている。こうした圧倒的軍事的劣位に置かれたことに全く無自覚に、野田政権は原発の継続と輸出を打ち出している。どうぞ原発を攻撃して核爆発効果を得てくださいと言っているも同然である。こうした軍事的に無知な政権がジョンイル政権に圧力をかけて拉致被害者を取り戻すことなど絶対に有り得ない。
日本はますます米国への隷従を深め、経済的にも収奪されていくことになる。これは戦後にはなかったことで、新しく隷従が始まるのであることを注意喚起したい。

1.「アラブの春」の標的はリビアだった!

 チュニジアから始まったのは決して偶然ではない。隣国のリビアへの介入の口実を作るために、チュニジアの政変は是非ともひつようだった。カダフィ大佐が唯一虐殺されたこの期に及んでもなお、「アラブの春」がリビアをそしてリビアの石油をターゲットにした米国の策動であったことを承認しがたい向きには、3月19日から5ヶ月の長きにわたってNATOの軍事介入を受けた唯一の国であることに注意することを喚起したい。
 その他に軍事介入を受けた国などない。3月という極めて早い時期に軍事介入を決定するには事前の根回しなしには有り得ないことは、少しでも軍事を知っていれば常識であることを分かっていただけるでしょう。ことに、NATOという複数の帝国主義国にまたがる軍事介入ではなおさらだ。
 死体のないビン・ラディンと同様にカダフィの死体はない。虐殺以外の何物でもないからだ。これもまた常識。軍事裁判にかけるのが政治的優位に立った者の常道だからだ。
 かえすがえすも、カダフィ氏は核を放棄すべきではなかった。
 米国は、またも良質の石油利権を手に入れた。
 仏・独などイラク介入に消極的だった国の同意と協調介入が実現できたのも、リビアの油田が良質な上に仏のすぐそばにあったからだ。

2.米国の思惑通りのリビアと、思惑をはるかに越えてしまった誤算としてのエジプト

 エジプトは想定外の波及だった。「一人の青年」のネットでの粘り強い呼びかけが予定していなかったエジプトでの「春」を出現させてしまった。あわてた米国は暫定評議会でお茶を濁そうとしたが、想定外の場所での「春」は想定外の結果を惹起してしまった。ムバラクの退陣を余儀なくされ、その勢いをもってしてイスラエル大使館が襲撃され、イスラエルの外交団がエジプトから追放される事態が生まれた。
 大誤算である。第4次中東戦争をエジプトの敗北に追い込み、膨大な援助と引き換えにイスラエルの「背後の安定」を買い取った米国の40年来の戦略が崩れてしまった!アフガン侵略に邁進し、イラクからの撤兵によって対イラク政策を好転させた傀儡としてのオバマの「功績」は、ユダヤ・ビューローの逆鱗にふれ、オバマの支持率は一気に引き下げられた。要するに下手を打った用済みの男に変わったのだ。
 米国民主党はユダヤ人ビューローの献金に深く依存してきた。そのユダヤの利害にふれてしまったのだ。半分、黒人の血が流れているというそのこと自体の持つ画期性以外に何の進歩性も持っていなかった男の政治生命は尽きた。そもそも、民主党の予備選でオバマが勝ち抜き、共和党に勝てたのも、リーマン・ショックからの回復のために膨大な国家予算を投入することを宣言した直後からのウォール街の支持による。
 オバマは米国大ブルジョア階級の忠実な代表者だった。そう。だった。
 ユダヤの逆鱗にふれた以上、民主党ではやってゆけない。

3.政治生命の無くなったオバマの権力への妄執。起死回生の一手としてのTPPに朝貢外交をする野田の愚。

 TPPは米国標準の押し付けである。米国抜きに2国間で貿易協定を締結していく方が経済学的にも合理的で、もちろん政治的にも日本の優位性を獲得できる道である。
 だが、野田民主党は、菅と同様、TPPに加入しなければ「乗り遅れる」などというわけの分からぬことを言い出し、死に体のオバマの起死回生の一手たるTPPに加入しようとしている。自国で論議することなく消費税値上げを「国際公約」して円高を決定的にした愚の繰り返しとして、またもや米国詣での朝貢として、TPP加入を持っていく。
 こうしたところで、エジプトを反イスラエルにしてしまったオバマが再選されることはなく、勝手に「現代の不平等条約」に加入したいと申し出たお笑い者・「田舎侍」として世界から馬鹿にされ侮られるために、野田は米国に出かけていく。
 中国がTPPに入りたいと騒いだだろうか。「開国しなければ」と騒いだだろうか。
 こんなことですら、日本は中国以下の態度であり、これでは海洋権益で侮られ「実効支配」の山を築かれるのが見え透いてくる。

4.日本民主党では労働者階級の利害は部分的にすら代表されることはない。

 このことが、またもや浮き彫りにされた「アラブの春」だった。
 民主党はユーロの安定のために1兆円もの金を出すという。敵に塩を送る必要などどこにもない。復興資金がないといって増税するのに!
 労働者階級の政党が必要だ。


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