共産主義者同盟(火花)

生活の不確かさと不幸を増やす帝国主義資本主義と戦争

流 広志
255号(2002年11月)所収


人々を不幸にする小泉政権の金融・経済政治

 すでに,経済非常事態宣言を発している小泉政権は,10月31日に,経済財政諮問会議を開いて「改革加速のための総合的対策」(総合デフレ対策)をまとめた。2004年度までに不良債権比率を半減させる目標を明記し,貸し倒れに備えた引き当ての強化,雇用などのセーフティネットの拡充策を盛り込んだ。さら竹中経済財政相が11月5日に提出した2002年度版「経済財政白書(改革なくして成長なしU)」では,法人税減税の効果を強調している。それによると,10%の法人税減税によって,所得増加→貯蓄・投資の増加→資本ストック増加→生産量・GDP増加→建設業・金属・電気機械等の投資財の生産量の大幅増加→実質GDP2.8%増加→経済厚生水準の改善が実現するとしている。
 いわゆるレーガン減税が強行されたアメリカでは,減税による所得増加は,投資ではなく贅沢品の消費におおく回って,結局,経済全体の成長には効果がなかったことが明らかになっている。国内にあまり有力な投資先がなければ,海外投資に向かうのが普通であって,80年代後半のプラザ合意以降のバブル期の日本はそうした投資先となっていたのである。90年代にはアセアン諸国や中南米諸国やロシアなどが有力な投資先になっていた。
 『白書』は,資本の自己増殖力の回復こそが人々の経済厚生水準を改善させるとする考えを基本に書かれている。『白書』は,民営化の推進や効率化のためのアウトソーシングなどの市場取引の役割の高まりと政府の法体系などのインフラ整備への特化を目的とすると述べている。さらに家計については,個人の一生涯の自己研鑽を求めている。
 これらは,1980年代のレーガノミックスの新保守主義的経済思想の引き写しにすぎない。それに基づく政治・政策の帰結がどうなるかについては,先例があるのでおおよその見当がつくはずである。例えば,レーガン・ブッシュの新自由主義・新保守主義的政治の時代にあった1983年の実質成長率3.6%,84年の6・8%%という高成長率は,80年のマイナス0.2%から82年のマイナス2.5%,85年以降のその逓減の合間の一時的な徒花にすぎなかったのである(『アメリカ 黄昏の帝国』岩波新書 進藤栄一著 第一部第一章二)。
 それにもかかわらず,ハーバードやアメリカ政府の支持を背景に,竹中大臣は,この道しかないとひたはしろうとする。それにたいしてケインズ主義者たちからは,公的資金できれいにした銀行をアメリカ系企業が安値で買い取ろうと狙っているという批判の声が上がっている。すでに長銀がそうなっているから,まったく根拠のない話しではない。
 日本の金融機関が厳しい状況にあることは確かである。株価低下による自己資本比率低下の危機にあるために,銀行はいわゆる「貸し渋り」「貸しはがし」を強化しており,それによってとりわけ中小企業の資金繰り悪化が続いている。他方で,銀行の経営責任追及は行われていない。それは,政府−日銀が,銀行保護政策を続けているためであり,銀行が自民党に巨額の政治資金を行って,権益保護を図っているからである。
 そうした政府−与党−銀行の癒着にたいして,なるほど,小泉政権−竹中金融・経済財政相は,果敢に立ち向かうような姿勢を見せてはいるが,それは査定規準の強化という会計的手法の改革程度のものにすぎず,しかも,それすら後退したのである。
 結局のところ,国有化してすべての情報を開示し,それに基づいて厳密な計算を行い,あらゆる無駄を取り除くほかはないのであるが,政府の対策は,一時的な国有化策に止まっている。結局,それは,金融資本のための救済策でしかなく,人民のための金融を基本とすることはできないのである。加えて,すでに日本では,UFJ・三井住友・三菱東京・みずほの4大金融グループが生まれているが,こうした巨大独占の成立に対して,なんらの歯止めもかけず,しかも合併は経営体質を強化するとして奨励する政策をとっている。 かくして,小泉政権の金融政策と経済政策は,大資本・金融資本・金持ち・エリートを豊かにするものであって,それ以外に対してはまったく冷酷であり,そこに犠牲を集中させるものにほかならないのである。
 国会答弁で,首相は,税収不足が明らかになれば補正予算を組むが,それで国債発行30兆円枠突破するのは当然だと述べた。これは,財政支出を積極的な需要創造策とするケインズ主義者の考えからの発想ではなく,財務省的財政均衡主義的発想で,入りが少なければそれを借金で補うしかないということである。銀行信用に厳しいのはハイエク主義や進自由主義の特徴である。日銀は11日に民間銀行の貸出残高が前年同月比5・2%現の416兆6085億円と91年調査開始以来最低となっていることを発表した。特に都銀の減少幅が8・3%と高く「貸し渋り」「貸しはがし」が強められているとみられる数字が出た。信用収縮の動きが加速されている。
 BIS規制の自己資本比率の問題が重要なのは,それが8%割れした場合に国外業務の不可能が決まるということばかりではなく,それが信用創造の規模を規制するものであるという点にある。BIS自己資本比率規制では,銀行貸出は,コアとなる自己資本(Tier1)プラス補完的自己資本(Tier2)の12.5倍以内という枠と国際業務規準として自己資本の8%枠が決められた(『平成金融不況』(中公新書 高尾義一著 41頁など参照)。つまり銀行の与信能力が規制されているのである。
 現在問題になっているのは,コアとなる自己資本(Tier1)には資本金(普通株),準備金,(非累積型)優先株などが含まれ,補完的自己資本(Tier2)には株式含み益の45%,劣後債,劣後ローン(期限付型・永久型),貸倒引当金などが含まれ,Tier2への自己資本への参入がTier1が上限となっている。さらに資産の種類毎に,例えば自国政府の短期債は0%,民間貸付は100%といった具合に5段階のリスク・ウェイトが付けられている。
 この間の株価下落は,Tier2の株式含み益を減少させて自己資本比率を低下させるため,貸倒引当金を増額させてそれを補おうとしているわけだが,それでもだめな場合に,国有化して公的資金を注入して自己資本不足を解消させ,バランスシートを一気に健全化する強制策をとろうとして,銀行と竹中金融・経済財政相との間に対立が生じたのである。
 小泉政権の経済政策は,供給サイドの改革を軸にしたものである。したがって,セーフティーネットといわれる雇用対策や中小企業対策などは補完的に位置付けられているにすぎない。
 雇用や社会福祉が持つ社会的意味から,また,社会進歩の究極目標という点から言えば,失業の恐怖や老後や病気の不安からの解放,安心や安全,豊かさの増大,正義,公正などの実現に向けて前進しているかどうかは,社会進歩を測る重要な規準である。
 財政均衡は重要な規準の一つだとしても,それは,国家官僚組織の縮小と社会厚生や社会保障の前進と拡大とを合わせて実現されなければならない。例えば,道路公団民営化の議論で推進論者の猪瀬直樹委員などが効率を中心規準にするだけで同時に実現されなければならない社会進歩に社会的公正や福祉の観点を含ませず,料金低下のメリットばかりを強調しているというのはその社会性の水準の低さを表している。その他の現在の改革論義もまたそうした社会性の低い水準で行われ,資本主義の限界内での議論にすぎない。
 社会厚生,社会福祉,社会正義,社会的公正,豊かさや民主主義を前進させ発展させられない社会は進歩的ではない。小泉政権もそれは承知で,一時的な犠牲の後の再進歩・再発展を目標として掲げているので,それが「改革なくして成長なし」のスローガンに表れている。しかし今やそれも空しい言葉遊びにすぎないことが明らかになりつつある。
 このような資本主義の隘路から脱却するためには根本的なオルターナティブとしての共産主義への前進しかない。

対イラク戦争問題に現れた帝国主義の実態

 11月8日,国連安保理は,米英提案の対イラク決議を全会一致で可決した。その骨子は,@30日以内の大量破壊兵器の全容の安保理への報告,A決議から45日以内の査察再開とそれから60日後の安保理への報告書の提出,B査察団による大統領宮殿を含む全施設への無条件・即時査察を認めること,C義務違反は深刻な事態を招く,という内容である。
 決議採択後,ブッシュ大統領は,イラクがこの決議に違反すれば「最も深刻な結果を招く」と述べ,「米国とその他の国がフセインを武装解除する」と警告した。それはフセイン政権を打倒する軍事作戦を意味する。これは,国連の枠を超え,国連憲章に違反する先制攻撃を行うということである。アメリカは,安保理決議の曖昧さを利用した解釈による国連行動としての正当性に基づくと主張するか,自衛権を拡大解釈するかで,自らの軍事行動を正当化するだろう。いずれにしても,それは,中長期的には,国連による世界の安保体制構築を建て前としてきた戦後世界秩序の崩壊を意味することになろう。
 ロシア,中国,フランスは,この決議によって,アメリカの単独行動主義による国連の枠組みからの超越を押さえ,維持しようとした。それがCの曖昧な表現に現れている。たとえアメリカが単独でイラクへの軍事攻撃を行ったとしても,この曖昧な表現によって,国連安保理の枠内での行動であると言えるようにしているわけである。これらの諸国にとって,国連安保理常任理事国という特権的地位を失うリスクを避けたいというのが,対イラク攻撃に積極的でないにもかかわらず拒否権を発動しなかった理由の一つであろう。
 アメリカの言う中東の安全保障のためというのは,イスラエルの安全を軸とした中東安保という意味である。イラクの大量破壊兵器のリアルな対象は,アメリカではなく,中東の石油施設・パイプラインなどの安全であり,対イスラエル軍事攻撃を行っているイスラム武装勢力へのイラクやイランの支援であり,それらの組織に手渡される危険である。
 これらの動きから見えるのは,国連による世界秩序規制・安保体制の原理の変容,形骸化,崩壊,そして,帝国主義的国際秩序の前面への顕現という現象である。かつての国際連盟は帝国主義大国による強盗秩序を覆い隠す欺瞞的な国際装置でしかなかったが,現在の国際連合もまたそれと同じ正体を顕しつつあるのだ。
 今回の対イラク国連決議について,パウエル国務長官は,決議違反の場合には,国連安保理の新決議を必要とせず,米国単独での軍事攻撃を行うと述べ,ライス大統領補佐官は,この決議に対するいかなるささいな違反も許さず軍事攻撃によるフセイン政権転覆することを示唆している。
 ニューヨークタイムズ紙は,バグダットへの集中的な空爆と45万人の地上兵力を投入する地上作戦をすでにブッシュ大統領が承認したと伝えている。すでに,2002年度の財政赤字は,対テロ戦費などで約1600億ドル(19兆400億円)に増え,さらに対イラク攻撃となれば,1000億〜2000億ドルの臨時支出が予想されている。
 11月6日には,米連邦準備制度理事会が11ヶ月ぶりの0.5%の大幅な利下げを実行しており,政府が景気の現状に厳しい認識をもっていることが明らかになった。成長率は,右肩下がりに低下してきており,消費などの指標も悪化すると予想されている。
 先の中間選挙では,上下両院とも共和党が過半数を占める結果となった。その要因は,9・11事件後の安全への関心・心配が人々を捉えているからであろう。投票率は平均で39%ほどで,前回を上回っているが,30%台というのは高い数字ではない。女性候補の善戦やヒスパニック系候補の当選などの新たな現象も見られた。民主党の外交安保問題での議論を避けて国内問題や経済問題に焦点をずらすという作戦は成功しなかった。しかし,有権者の関心が経済問題に移りつつあることを示すアンケート結果も出ており,選挙戦術という観点だけから言えば,争点にする時期が早すぎたともいえる。
 別のアンケートによれば,アメリカ人の対イラク戦争に対する賛成は52%,反対は40%となっており,反対が増加している。さらに,全米各地で対イラク戦争反対の集会デモが頻繁に行われており,さらに大学でも学生の反戦のティーチインが活発になっている。

帝国主義戦争阻止を自国帝国主義打倒と結合しよう!

 小泉政権は,日朝国交正常化交渉を再開させ,その中で,拉致問題解決を最優先の課題とすると共に核開発問題を中心とする安全保障問題を協議したいとしている。
 小泉政権は,元銀行員(『火花』第253号6頁で元官僚としたことをここで訂正します)の石破茂を防衛庁長官にすえた。石破防衛庁長官はオタクと呼ばれるほど軍事問題に詳しいとされているが,彼はこれまで,9条改憲,自衛権明記,集団的自衛権行使賛成,有事立法推進,等々を主張している。彼は,政府方針に従うとくり返しながらも同時にインド洋にイージス艦を派遣すべきだなどの持論をことあるごとに主張している。
 防衛庁は,前国会で継続審議となった有事関連三法案の成立を目指して,いわゆる「国民保護法制」の概要を明らかにしたが,野党が委員会審議に応じないことから,今臨時国会での成立を断念した。彼はそれではどういう対案があるのか出せと野党にかみついた。野党は廃案を目指しており,社共はそもそもそんな法律はいらないというのが対案である。石破防衛庁長官はそれでは日本の安全をどうするのかと言う。
 大規模直接侵略を想定する有事立法は,実際には国家緊急権を確立する非常事態法体制整備を狙うもので,石破防衛長官はこれを対朝鮮民主主義人民共和国に対する抑止力であると述べている。それが小泉首相の言う「備えあれば憂いなし」の実際の意味である。つまり彼が求める対案には対北朝鮮安保をどうするかということを含んでいるわけである。
 しかし,現在の東アジアの安保環境では,アメリカの核を含む軍事力が軸になっているのであり,だからこそ,金正日政権は,核問題を含む安保協議はアメリカとの協議事項であって,日朝協議の対象ではないと主張しているのである。
 防衛問題は防衛庁・自衛隊の専権問題ではなく人民全体の問題である。それは,自衛隊(常備軍)の解体とそれを全人民武装で置き換えるという革命的方策を実現することで,この領域の問題を真に自分たちの問題とし,したがって真に民主主義的に提起され,ブルジョア民主主義的な他人まかせで無責任な世論ではなく,真に民主主義的で自分の問題として考えた上で責任をもって態度を決定するという徹底的民主主義が形成する世論によって解決されなければならない。
 石破防衛長官は,防衛問題を,国家エリートが考え決定して自衛隊という官僚常備軍が執行するというエリート主義的国家主義的に提起しているのであり,軍事を大衆化し民主主化して,大衆自身が考え決定する問題として提起しない。イージス艦派遣についても政府内の議論で決定する政府が専権的に決定するとしているのである。
 有事立法がさらに継続審議となる一方で,国連安保理での対イラク決議の採択によるイラク攻撃の可能性の増大という切迫した事態に対して,日本政府としてどう対応するのかという緊要の課題が浮上している。
 国連安保理による武力行使容認決議のお墨付きなしにアメリカが対イラク攻撃を行った場合に,それを支持し,それに協力することは,国連の枠組みを超えることになる。政府−与党は,それを曖昧にして,事実上の支援を行うためのごまかしをやろうとしている。
 アメリカの自衛権行使としての先制攻撃に対して,日米安保による集団的自衛権行使としての協力するとしても,あるいは,国連決議違反に対する軍事制裁行動への参加を名目とするにしても,その根本が米帝との石油利権などの共同利益の確保にあることに変わりはない。
 福田官房長官は国会答弁で,イラクとアルカイダの密接な関係が明らかとなれば,対テロ特措法に基づく支援が可能だと述べた。しかし,両者の密接な関係を表す具体的な証拠は示されていない。アメリカがイラクのテロ支援を問題にしているのは,イラクによる対イスラエル軍事攻撃を行っているパレスチナ武装勢力に対する支援の方なのである。
 したがって,対テロ特措法を根拠にしたアメリカへの支援というのは難しい。周辺事態法による支援というのも,アフガニスタン戦争の際に問題になったように,「周辺」を拡大していけば,地球全体が対象になってしまう。したがって現行法で,直接,対イラク戦争を支援することは難しい。
 それなら新法でという話しになるが,直接的な敵対関係にないイラクに対する他国の戦争を支援するには,集団的自衛権行使がもっともすっきりする。しかし,それには,集団的自衛権行使を違憲とする政府解釈があるので,それを覆す改憲論議が避けられない。ところが,一時盛り上がりを見せた憲法論議も,今では一般に無関心となっている。
 そこで,直接支援ではなく,アフガニスタンでの対テロ戦争での支援を強化することで,間接的に米軍を助け,直接支援に代えるという案が与党内で検討されている。
 いずれにしても,日米帝国主義は,日米反革命同盟の強化による国際的国内的なプロレタリアート人民の階級闘争の抑圧・鎮圧策動をあらゆる機会をとらえて強化しようとしているのであり,対イラク戦争策動もそうした帝国主義政治の一環なのである。
 この問題で,プロレタリアートは,トルコ,イラクによって弾圧され抑圧されている被抑圧民族クルド人の民族解放運動を支持支援するということは当然である。トルコと闘っているマルクス主義を標榜するクルド労働者党は大きな影響力をもっている。プロレタリアートは対イラク戦争があろうがなかろうが,またこの戦争の帰結がどうなろうが,民族自決権の無条件支持という基本態度を貫くべきである。
 米英帝国主義は,自らの利害のためにアフガニスタンで中世的遺物と平然と手を握ったように,クルド問題を利用するだろう。米英は,クルド人内の革命的勢力と一時的に手を握るかもしれないが,遅かれ早かれ,対立することになるだろう。アメリカの利害は,石油をめぐる利権の獲得とイスラエルの安全を確保することにあり,被抑圧民族の擁護者というのは仮面にすぎない。それはチェチェン問題での変わり身の早さを見れば明白だ。
 帝政ロシア時代から,体制のいかんにかかわらず長期に渡ってロシア人から民族的抑圧を受けてきたチェチェン人の民族自決権が歴史的正当性をもっていることは明らかであり,エリチィン・プーチンの歴代政権がチェチェンをロシアの領土の一部と主張して独立を認めず,軍事弾圧・虐殺・生活手段の大量破壊を行った行為には何の正当性もない。チェチェン問題について正当性のないロシアの立場に理解を示すというのは,米露の帝国主義的利害の一致によるものであり,それによって,少数派の被抑圧民族チェチェン人がより絶望的な立場に追い込まれたのは言うまでもない。
 この問題について山内昌之氏は,イスラム研究で正確な分析力を示しているにもかかわらず,新聞で,モスクワ劇場占拠事件に触れて,体制に関わらず長期に渡ってロシアから民族的に抑圧・差別されてきたチェチェン人に向かって,「独立の主張は理解できるが,テロや暴力的手段はよくない,話し合い解決を目指すべきだ」と説教している。彼は,このままではアラファト議長の二の舞になるというのである。
 これはどうしようもない混乱である。例えば,東チモールの独立は,インドネシアとの平和的話し合いによって達成されなかったし,独立派の武装勢力には海外からの支援があった。歴史的に見て民族自決権行使の正当性が明らかである場合(チェチェン人がそうした権利を持っていることを氏自身が認めている)に,その手段が暴力的か否かを規準にするのは誤っている。氏が国家間外交の枠組みや外交ゲームにおける駆け引きという誤った視点から問題を考えることから,こうした混乱が生まれるのである。長年にわたって民族的に抑圧されている被抑圧民族には民族自決権が無条件に認められなければならない!

 11月9日のイタリアでの30万人集会デモなどヨーロッパでの対イラク戦争反対運動が拡大し,世界各地でこの反戦運動に何十万何百万という人々が参加し立ち上がっている。
 われわれは,共産主義者同盟として,スターリニズムと闘争しつつ,資本主義・帝国主義との闘いを行ってきた。資本主義帝国主義打倒とプロレタリア権力を樹立する闘いとこの世界的な対イラク戦争反対運動を結びつけることは,われわれにとって重要な任務である。労働者大衆は,この戦争に参加・協力する自国帝国主義政府を打倒し,根本的なオルターナティブとしての共産主義の未来のための闘いに立ち上がろう! 




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