共産主義者同盟(火花)

世界資本主義の現状分析(1)グローバル経済

渋谷一三
251号(2002年7月)所収


1.経済のグローバル化は確かに進んだ。従来、火花派はこの事態を、資本主義の拡大と深化と表現してきた。地球規模での拡大と深化ということから言えば、Globe(地球)と表現することに、本質的誤りは孕まれない。したがって、以後グローバル化という表現を採用し、資本主義の拡大と深化と表現したほうが適切な場合のみ、そう表現することとする。

2.経済のグローバル化はなお進行しているが、従来のそれがドルを基軸通貨にすることに成功した米帝の基準をグローバル・スタンダードとしていくことと同義であったのに対し、現在、米帝の基準をグローバル・スタンダード(地球基準)とすることに反対し、グローバル・スタンダードの米帝一極集中に逆らう動きが出てきている。グローバル・スタンダードの争奪戦とでも言えよう。

3.ECの通貨統合・市場統合は、まさにこの争奪戦に勝利することを目指して発展し得たものであり、米帝の単独勝利を阻止する動きの現実化・物質化であった。

4.この意味で、ECはかつてのブロック経済化の動きと大きく異なる。EC内で完結することを目指し、ECの市場が米帝に席巻されるのを阻止することが目的であったならば、ブロック経済化の動きと言ってよいが、現在の動きは経済の地球規模化を前提にして、その基準を自らの手にするための物質的基礎を獲得するために、米帝の市場規模に対抗できる単一市場を形成したものである。

5.火花派は、資本主義の腐朽性の拡大と深化と表現したことが多かった。腐朽性はますます全世界に拡大し、且つ、深化している。この意味ではグローバル化という表現では物事を言い表し得ない。逆に、グローバル化という表現を採用することによって、これとは位相の異なる資本主義の腐朽性を鮮明に問題にすることが出来る。




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